大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和31年(ワ)150号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔争点〕原告はアメリカ合衆国ミシガン州法によつて設立された法人で中古衣料品の売買等を業とするものであり、被告はパナマ会社法に準拠して設立された法人で中古衣料品の輸出入販売ならびに駐日米英軍の払下物資の売買を業とするものであるが、原告は被告から昭和二九年八月一九日ころ存日米軍の払下軍用中古衣料品三二、〇〇〇点を買受け、昭和三〇年一月一三日約定どおりオランダアムステルダム港で引渡をうけた。ところが売買の目的物である古衣料は直ちに完全に使用可能なもの又は僅少の修繕によつて使用可能なものという約束だつたのに、その四〇%余が修繕及び使用不能のボロだつたためその分の転売不能となり、約四八五四弗の損害をうけたので債務不履行による同額の損害賠償を請求する。

被告はもとより原告の主張事実を否認した。

ところで本件は外国法人間の取引の効力が争点となるのでその準拠法が何か問題となるわけであるが、判決は本件においては、準拠法について明示の指定はないが、当事者双方共日本法を準拠法とする意思があつたとして日本法を準拠法とする旨判示し、つぎのとおり述べている。

〔判決理由〕右によると、原、被告ともに外国法人なので本件法律関係を律すべき準拠法について検討する。

本件損害賠償請求は、原告主張にかかる請求の原因によれば、原被告間の中古衣料品売買契約における売主たる被告の責任が追及されているのであるから、右契約の効力の準拠法を探究すべきこととなるが、本件全訴訟資料によつても、右契約当事者らにおいて、右契約の準拠法を指定する明示の意思表示のあつたことは認められない。しかし、当事者間に争いのない、被告が日本国内に営業所を有し右売買の目的物は、被告が日本国内において買付けて原告と転売したもので、右契約の履行として日本国内の港から積出された事実と原、被告代表者尋問の各結果によつて認められる、原、被告間には他に本件同様の取引が数回にわたつて行われた事実、および弁論の全趣旨から明らかな、本店が米国に存する原告において、日本法が準拠法であると主張し被告においてもこれを争わない事実からすると、本件契約においては、日本国の法律による意思があつたものとみるべき合理的な事情が存するから、本件当事者間には、日本国の法律をその準拠法とする意思があつたと認める。(柳川真佐夫 岡山宏 秋元隆男)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!